【清水理史の「イニシャルB」】 第465回:もしも子供に「iPhone 4S」をねだられたら〜au版iPhone 4Sでフィルタリングや機能制限を試す -INTERNET Watch
クリスマスか、それとも春の新入学シーズンか。もしも、子供からiPhone 4Sをねだられたとしたら、あなたはどうするだろうか? 買ってから困らないようにするために、最低限のセキュリティ設定について、あらかじめ考えておこう。
● 娘のケータイをiPhone 4Sに機種変
10月28日から、全国のauショップでiPhone 4Sの取り扱いが開始された。10月14日の発売後、au版は静かなスタートといった印象だったが、全国の店舗での販売が開始されたことで、今後、徐々にau版iPhoneのユーザーが増えてくることだろう。
筆者もiPhone 4S 16GB版のホワイトを手に入れたのだが、実は、この端末は、小学生の娘に渡すことにした。ちょっともったいない気はしたのだが、娘の世代が、どう使って、どんなことに困るのかが興味深かったうえ、おそらく未成年の子供にiPhoneをねだられるケースが今後増えてくることを考えて、実際にどのように設定し、どのように使わせればいいのかを検証してみたかったのが、その理由だ。
現状、フィーチャーフォンに関しては、回線事業者側でフィルタリングサービスが提供されているなど、未成年の利用が想定されているが、スマートフォンに関しては、この想定があまりなされていない。これまでのAndroid端末であれば使う層も限られていたかもしれないが、iPhoneでは、この層がぐっと未成年にまで広がる可能性が高い。
いざ子供に買い与えてから、フィルリングはどうするのか、機能制限はどうかけるのかに迷っていては遅いというわけだ。
まだ完全とは言えない部分も多々あるが、できる範囲でどのようにセキュリティの設定をしておけばいいのかを検証していこう。
● Apple IDは13歳未満は作れない
娘用のiPhoneを手に入れて、まず最初につまづいたのはApple IDの設定だ。
iPhoneでは、AppStoreの利用などでApple IDが必要になるのだが、IDの作成時に娘の生年月日を入力してはじめて年齢制限があることに気がついた。普段は、自分のIDしか登録したことがなかったので、気にしたことがなかったのだが、13歳未満の場合はApple IDを作成することができないのだ。
もちろん、生年月日を入力するだけなので、簡単に回避することもできるのだが、さすがに情報を偽って登録するわけにはいかないので、今回は筆者の名義でApple IDを登録することにした。
もちろん、筆者の名義で登録したとしても、登録者と利用者が別になるため、これも規約上好ましくないと思われるが、現状、13歳未満の場合は、これ以外に回避する方法がない。最近では、小学生でも塾の行き帰りなどで携帯電話を所有するケースも少なくないため、このあたりの年齢層の利用も、今後は想定した方がよさそうだ。個人的には、登録者と使用者を個別に登録できるようにしたり、親子アカウントのような考え方を導入してもらえるとありがたいところだ。
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ただし、子供が利用するiPhoneに、親名義のApple IDを登録するというのは、後述する機能制限やiCloudを利用した位置検索、メール監視などを考えると、実は都合が良い。13歳未満でなくとも、未成年に利用させる場合は、親名義のApple ID(iCloudは子供端末用に専用で使いたいので自分が所有している既存のApple IDとは別の2アカウント目)で登録しておくことをおすすめしたいところだ。
なお、Apple IDの新規作成時に決済情報の入力が必要になるが、もちろん子供用アカウントにクレジットカードは登録しないこと。後述する機能制限でAppStoreやアプリ内からの購入などは制限できるが、意図しない課金がなされてしまう可能性がある。iTunesカードをあらかじめ入手しておき、少額チャージしておくといいだろう。
● Webフィルタリングを設定する
Apple IDとiCloudの登録後、EzWebのメール設定やアドレス帳の移行(これはこれで手順が複雑だが……)など、最低限の準備をすれば子供用のiPhoneとして使えるようになるが、さすがに素のままで手渡すわけにはいかない。
まず設定しておく必要があるのは、ウェブのフィルタリングだ。後述する機能制限によってAppStoreやSafariの利用を禁止する必要もあるが、先に機能制限をしてしまうと、ウェブフィルタリングなどの設定にかえって手間がかかってしまう。先にウェブフィルタリングの対策をした方が効率的だ。
iPhoneのウェブフィルタリングは、Softbank版の場合、「Yahoo!あんしんねっと」、または「Yahoo!きっず」が提供されているが、au版では「i-フィルター for iOS」を利用するといいだろう。
「i-フィルター for iOS」は、デジタルアーツがiPhone 4Sの発売と同じ10月14日から提供を開始したiOS向けのウェブフィルタリングソフトだ。同社のリリースによるとKDDIの協力により、2012年1月31日(火)まで無償提供されるアプリとなっているが、au版だけでなく、SoftBank版のiPhoneでもAppStoreから無償でダウンロードできるようになっている(ちなみに「Yahoo!きっず」はau版iPhoneでも利用可だが「Yahoo!あんしんねっと」は利用不可)。
KDDIは、2012年1月から、現在の「EZ安心アクセスサービス」をiPhone 4S/Androidスマートフォン向けに拡大する予定としているため、それまでの暫定処置とも言えるが、この「i-フィルター for iOS」はなかなか使い勝手の良いアプリだ。
アプリでの制限となるため、後述する機能制限によるSafariの利用禁止などが併用条件となるが、3G/Wi-Fiどちらの回線でもフィルタリングが適用されるうえ、ウェブの設定画面からPC用のフィルタリングソフトと同等と言えるほど豊富な機能を利用できるようになっている。
たとえば、年齢によってフィルタリングするカテゴリを設定したり、カテゴリを細かく選択することができだけでなく、ホワイトリストやブラックリストで、個別にURLを指定してアクセスを許可したり、禁止することができる。
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また、利用時間の制限も可能だ。時間や曜日を設定して、特定の時間だけウェブの閲覧を許可することができる。ここまでで、「EZ安心アクセスサービス」のカスタマイズコースとほぼ同等の機能が使えるというわけだ。
これ以外に、利用状況のチェックもできる。日付ごとにアクセス統計をグラフ表示したり、実際にどのサイトにアクセスし、どこでブロックされか? どのような言葉で検索を実行したか? どのような掲示板などに書き込みを行なったか? などを詳細にトラッキングできる。
自分が監視される側だったら、プライバシーの侵害だと言いたくなるほどにイヤな機能だが、スマートフォンを持ち始めたばかりだったり、まだサイトの良し悪しの判断ができないような年齢の子供だったりするときにはありがたい機能だ。
個人的には、保護者へのアクセス許可の申請は、なかなか良い機能ではないかと思える。この機能によって、万が一、学校の課題などで調べ物をしているときなどにサイトへのアクセスがブロックされ場合でも、保護者に理由を添えて閲覧申請をすることができる。保護者は、この申請、および実際のサイトを管理画面から確認して、問題無ければアクセスを許可することができるようになっており、非常に柔軟性の高い運用が可能だ。
後述する機能制限やアプリの購入などもそうなのだが、単純に禁止するというのは、実際に端末を利用する側にとってみれば、制約が多すぎて実用性を損なう結果になる。この申請方式というのは、アプリのインストールや購入、動画の閲覧など、あらゆるシーンで活用できるはずなので、ぜひiOSそのもののシステムとしての導入を検討して欲しいところだ。
● 機能制限を忘れずに
このように、i-フィルター for iOSをインストールすることで、ウェブのフィルタリングはできるようになるが、1つ注意しなければならないのは、機能制限を併用しないと意味がないことだ。
フィルタリングが適用されるのは、i-フィルターのアイコンをタップし、そのブラウザー経由でアクセスしたときに限られる。このため、Safariを利用してアクセスした場合は、このフィルタリングの適用外となる。
このため、「設定」の「一般」にある「機能制限」を有効にし、「Safari」を「オフ」に設定しておく必要がある。また、同時に、「インストール」をオフにしてAppStoreの利用を禁止するか、「コンテンツの許可」で「パスワードを要求」を「即時」にして、アプリのダウンロードを毎回パスワードで保護するようにしておくといいだろう。これで、別のブラウザを使われてしまうことを防止できる。
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このほか、機能制限では、「App」で特定のレート以上のアプリが表示されないようにするための年齢制限、「App内の購入」の「オフ」は、忘れずに設定しておいた方がいい。特に後者は、未成年者がアプリ内のアイテムに多額の料金を支払ってしまうことを防止するのに効果がある設定だ。
このほかの設定については、必要に応じてというところだが、ムービーやテレビ番組のレートは、iTunesStoreでのレートとなるため、Youtubeなどには適用されない点には注意したい。
特定のサービスに関しては、機能制限によってアプリの利用を禁止したり、サービスを利用するためのアプリをインストールできないようにすることは可能だが、サービスの内容に関しては、アプリ内課金を除き、iOS側で制限することはできないようになっている。
我が娘は、劇団四季のミュージカルのファンで、YouTubeで公開されている公式のプロモーションムービーなどをよく見ている。この楽しみを奪いたくないと思う一方で、不適切だと思われる動画がランキング上位に表示されることは避けたいのだが、現状は有効な手段がない状況だ。
特にYouTubeに関しては、違法にアップロードされたテレビ番組などがランキング上位に堂々と表示されることに非常に危機感を覚える。スマートフォンをはじめて手にしたり、YouTubeで動画を見始めた子供たちが、この状況を当たり前だと思ってしまうようになったら、もはや「著作権が……」、などと後から言ってみたところで、何も伝わらなくなってしまうだろう。
● iCloudで位置検索やメール検閲も可能
最後に、iCloudの応用についても紹介しておこう。やり過ぎると、子供との関係が悪くなるので、技術的に可能であることと、実際に利用することは別に考えて欲しいが、iCloudを活用すれば、居場所の確認やメールの検閲もできるようになる。
子供の居場所の確認は単純だ。iCloudの「iPhoneを探す」を使えば良い。本来はなくしたiPhoneを探すための機能だが、子供が持っている状態で実行すれば、当然のことながら居場所を確認できることになる。
面白いのは、メッセージを送れることで、「早く帰ってきなさい!」などとメッセージを送れば、iPhoneで音声をミュートしていたとしても、けたたましい音で警報が鳴り響く。監視されているような印象で、自分がやられたら気分が悪いが、これも小学生などの小さな子供に持たせる場合には便利な機能と言える。
また、EzWebのメールで転送設定を有効にし、その転送先としてiCloud(別にGmailでもかまわない)のメールアドレスにしておけば、子供がやり取りしたメールをすべてiCloud上で見ることができる。
これも、設定する場合は、子供の年齢を考慮する必要があるうえ、同意も必要だと思われるが、やはりメールを使い始めたばかりの年齢の子供に対して監視をしたり、好ましくない付き合いの抑止力として使うのには有効だろう。
なお、迷惑メールのフィルタリングについては、SMSで宛先#5000、本文1234で送信されてくるメール設定ページのURLから、iPhoneからワンタイムパスワードを発行することで、SafariやPCのブラウザから設定することができる。こちらも子供の年齢に合わせて、PCからのメールは拒否するなど、しっかりと対処しておくといいだろう。
● アプリやサービスの対応が必要
以上、iPhoneを子供に使わせる際の設定について見てきたが、ウェブとiOSの機能に関しては、iPhoneでもある程度の対策ができることがわかった。2012年1月以後、au版ではネットワーク側の対策が可能になるため、i-フィルターからの移行、もしくはどちらを使うかの判断が必要になるが、それまでは上記の設定を必要に応じて使い分けるといいだろう。
ただし、前にも少し触れたが、アプリベースでさまざまなサービスを利用できるiPhoneの場合、サービスの内容については、なかなか対策が難しい状況だ。このため、動画配信サービス、SNS、ソーシャルゲームなど、サービス側の個別対応に頼るしかないケースが増えてきている。
もちろん、ソーシャルゲームなどであれば、前述したように機能制限によって「App内での購入」をオフにすることで、アプリ内でのアイテムの購入を禁止することはできるが、SNSなどでユーザー同士のコミュニケーションを制限したり、利用履歴を管理することなどに関してはサービス側の対応に頼るしかない。
そういった意味では、未成年を保護するためのセキュリティ対策というのは、考え方としても、システム的にも、次世代への進化が求められていると言える。今後のスマートフォンの普及を考えると、端末の機能やネットワークの出入り口だけでなく、より上位層となるアプリ内の機能やその先のサービスをユーザー側で、しかも統合的にコントロールできないと意味がないかもしれない。より効果的で、しかも手軽な、新しい対策の登場が待ち望まれるところだ。
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